大気汚染物質

次の物質について大気汚染物質として政令により環境基準等が定められている。
・一酸化炭素(CO)
石油や石炭などの炭素を含んだものが不完全燃焼することにより発生する。無色無臭の気体であるが、血液中で容易にヘモクロビンと結合し人体に悪影響を及ぼす。
・二酸化硫黄(SO2
石油や石炭などの硫黄分を含んだ燃料の燃焼により発生し、呼吸器へ悪影響を及ぼす。四日市ぜん息の原因となった。
・窒素酸化物(NOx)
石油や石炭などの窒素分を含んだ燃料及び空気中の窒素の燃焼により発生し、呼吸器へ悪影響を及ぼす。
都市部では特にディーゼル車の排気ガスによる窒素酸化物汚染が問題となっている。
・浮遊粒子状物質(SPM)
大気中の粒子状物質のうち、粒径0.01㎜以下のもの。
呼吸器へ悪影響を及ぼすが、発生源は工場等の事業活動や自動車走行によるもののほか、風の巻き上げなど自然現象によるものもある。
・光化学オキシダント(Ox)
大気中の炭化水素や窒素酸化物が太陽などの紫外線を吸収し、光化学反応で生成された酸化性物質の総称。
粘膜への刺激、呼吸への影響といった健康影響のほか、農作物など植物へも影響を与える。光化学オキシダントに起因するスモッグを光化学スモッグという。
「環境基本法」に基づき、光化学オキシダントは二酸化硫黄、二酸化窒素、一酸化炭素、浮遊粒子状物質と並んで大気汚染による環境基準が設けられており、1時間値が0.06ppm以下とされている。
・炭化水素類(HC)
炭素と水素からなる化合物の総称。
炭化水素の人為発生源としては、塗料、印刷インキ、接着剤、金属洗浄、クリーニングに使わられる溶剤などに由来するものの他、自動車の排気ガスからも排出される。
・有害大気汚染物質
低濃度であっても長期的な摂取により健康影響を生ずるおそれのある物質をいい、該当する可能性のある物質として234種類、そのうち特に優先的に取り組むべき物質(優先取組物質)として次の22種類がリストアップされている。(※は環境基準が設定されている)。
アクリロニトリル、アセトアルデヒド、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、クロロメチルメチルエーテル、酸化エチレン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、水銀及びその化合物、タルク(アスベスト様繊維を含む。)、ダイオキシン類※、テトラクロロエチレン※、トリクロロエチレン※、ニッケル化合物、ヒ素及びその化合物、1,3-ブタジエン、ベリリウム及びその化合物、ベンゼン※、ベンゾ[a]ピレン、ホルムアルデヒド、マンガン及びその化合物、六価クロム化合物