2016年9月26日
【活動報告】平成28年度南アルプス高山植物保護セミナー(第3回)
平成28年9月24日(土)、25日(日)
色づき始めた南アルプスを舞台に、平成28年度高山植物保護セミナーを開催しました!
今年度3回目となるセミナーにご参加いただいたのは、静岡県立清水東高校山岳部の2年生11名です。
静岡大学理学部の増澤武弘教授に、植生調査体験を通じて南アルプスの代表的な樹木や高山植物等の魅力や生態を教えていただいた2日間の様子を、皆様に紹介いたします☆
1日目。
あいにくの空模様でしたが、活動の拠点となる千枚小屋までの登山道で、シラビソやトウヒの特徴や見分け方など、南アルプスの亜高山帯の森林植生を学びました。
山小屋についてからは、みんなで車座になって学習会。
登山道で見てきた植物や、学校など身近にある樹木のパネルを見ながら、常緑樹か落葉樹か、広葉樹か針葉樹か、冬の姿や葉っぱを思い出しながら、みんなで樹木を分類しながら、その特徴を学びました。
2日目。
台風や秋雨続きな中、奇跡的に御来光を拝むことができました!
素晴らしい天気の中、2日目は、ニホンジカの食害から高山植物を守るために3年前から先輩たちが立ち上げてきた防鹿柵の撤去作業からスタート。
活動を行った千枚小屋周辺は標高約2,600mで、10月頃から6月頃まで、銀世界になります。
シカに飛び越えられないよう2mの高さで作られた防鹿柵は、雪の重みに耐えることができずに倒れてしまうため、植物が種を落としてから雪が降るまでのこのタイミングで、柵をしまう(撤去する)必要があります。
スタッフから柵撤去の手順を教わり、3人1組になって撤去作業スタート。
ポールからネットを外す。ポールを抜く。資材をまとめて紐で縛る。
作業内容を聞くと簡単そうに聞こえるかもしれませんが、活動場所は急斜面。
立っているだけで、ふくらはぎはパンパンです。
しかも、なるべく植物を傷つけないようにと、登山靴ではなく地下足袋に履き替えての作業。
センジョウアザミのトゲにも泣かされながら、みんなで頑張りました。
続いては、防鹿柵内の植生調査体験。
「たくさん咲いていた」「きれいだった」ではなく、他の人に植生の情報を客観的に伝える手段として、被度・群度という表現で植生を記録する「ブラウン・ブラウンケ手法」を学びました。
第3回となる今回は、開花中に調査を行った2回の調査と異なり、花が咲き終わってからの植生調査となりました。
咲いていた頃の様子を写真で見ながら、葉っぱの形などで分類を行いました。
教室での勉強とは違い、実際に高山植物を目の前にしながらの実習。
学生たちも真剣です。
「これは何ですか?」「何でこの植物ばかりなんだろう?」
植生調査体験を通じて、ニホンジカの食害による影響も感じてもらうことができました。
植生調査体験を終え、いよいよ千枚岳への記念登山。
色づきはじめた南アルプスの紅葉や富士山の眺望を楽しみながら、そして、勉強しながらの登山です☆
道中、ダケカンバの黄葉トンネルや、ナナカマドの紅葉を題材に、黄葉・紅葉の仕組みを教わりました。
「クロロフィルが~。」「アントシアンが~。」
…ちょっと難しい内容でしたが、学生たちは、うなずきながら一生懸命メモをしていました。
無事、千枚岳に到着し、紅葉の悪沢岳をバックに記念写真☆
清水東高校山岳部のみなさん、2日間大変お疲れ様でした!
また、今回のセミナーにご参加いただきまして、誠にありがとうございました!!
みなさんの先輩方が設置し、みなさんが植生調査を行った防鹿柵の中と外は、これからどう変わっていくのか??
ぜひ、今回調査した柵の5年後、10年後を自分の目で確かめに、また南アルプスにお越しください☆
(平成27年度は、台風接近により中止となりました)