山の木々が色づき始めた10月30日(土)、31日(日)に、1泊2日で市内在住の小学4~6年生とその保護者の10組20名を対象とした「南アルプスの森づくりツアー」を初開催しました!
南アルプスユネスコエコパーク井川ビジターセンターからスタート!
このツアーでは、ユネスコエコパークに登録されている南アルプス山麓や井川地域で、自然とともに暮らしてきた人々の文化や歴史を知るとともに、豊かな森を育むミズナラやブナなどの落葉広葉樹のドングリを拾いをしながら大井川上流の自然環境について現地で学びました。
1日目は、清々しい秋晴れの中、井川まちあるきガイドの大村さん、中村さんと一緒に井川散策。
井川神社 門間の地蔵堂
龍泉院や井川神社などで井川の歴史や文化のほか、井川の暮らしや人口の減少などの現状もお話しいただきました。参加者からは、ガイドさんに案内いただかなければ知ることができなかったお話をたくさん聞くことができたとの声が聞かれました。また、南アルプスユネスコエコパーク井川ビジターでも、ジオラマや展示パネルを見学し、これから向かう南アルプスの山麓への期待感も膨らんだ様子でした。
南アルプスユネスコエコパーク井川ビジターセンター展示見学の様子
井川の食材がたっぷり使用された「アルプスの里」特製のお弁当を食べた後は、山道をバスで進むこと約2時間、南アルプス南部の登山基地・椹島へ到着。
椹島に向かう道中は、山の木々が黄色やオレンジ色に紅葉しており、参加者の目を楽しませていました。
また、椹島ロッヂの少し手前にある牛首峠からは、南アルプスの盟主「赤石岳」の姿を見ることができました。
到着後は、昨年から操業し始めたウィスキー工場「井川蒸溜所」の特別見学や、南アルプスの写真を生涯撮り続けた白籏史朗氏の写真が展示されている「南アルプス白籏史朗写真館」の見学をしました。
また、井川蒸溜所周辺では、ミズナラやブナなどが生育する場所で、静岡大学の増澤武弘教授の指導のもと、ドングリ拾いを行いました。参加者はミズナラやブナの木を探し、周辺の落ち葉をめくってドングリ探しに熱中していました。
2日目はいよいよ椹島にある「鳥森山」に登ってドングリ拾い!ところが、あいにくの小雨となってしまいました。肌寒い中、カッパを着ての登山となりましたが、森の中に入れば木々に守られ雨はさほど気になりませんでした。
途中で、増澤教授からニホンジカが作った寝床や、ホシガラスがシラビソの松ぼっくりを剥いだ跡など、南アルプスに棲む動物たちの痕跡を教えてくれました。参加者は、自分たちが暮らす場所との環境の違いや動物たちが生息する気配を感じながら歩みを進めていました。
登り始めて1時間程でミズナラが多く生育しているスポットに到着、ドングリ拾いを行いました。小雨の中、一生懸命ドングリを拾いました。しかし、スタッフが2週間前に下見をしたときには、ゴロゴロとまとまって落ちていたドングリが、今回少なくなっていました。増澤教授は、この森に生きる動物たちがドングリを餌としていて、ドングリを持って行ってしまったと教えてくれました。森に生きる動物たちは、ドングリがあるから生きていけるし、動物たちの糞が土に還ると、土の中の小さな生き物がそれを餌にして、豊かな土壌を作り、そこにミズナラの木がまた成長していくという、生きもののつながり「生態系」で成り立っているということを教えてくれました。
そんな大事なドングリを少しおすそ分けしていただき、下山後は拾ったドングリをポットに植えます。
ドングリを植える前に、とても大事な作業を行いました。ドングリは落ちてすぐに拾わないと、ドングリの中に虫が入ってしまいます。虫食いのドングリは、発芽しないため、虫に食われていない元気なドングリと、虫食いのドングリに選別をしました。元気なドングリは中身が詰まっており、水を張ったバケツに入れると沈みます。
ドングリの選別が終わったら、いよいよポットに植えます。参加者は1組11個のドングリを植えました。ポットには誰が植えたかわかるよう、名札を付けました。また、植えたドングリを動物に取られないように、トレーにポットを入れてネットを張りました。
今回植えたドングリは、3年後の南アルプスユネスコエコパーク登録10周年まで、椹島ロッヂにて育てられます。無事に育ったミズナラは、市民による記念植樹に利用される計画です。元気な苗木に育つよう願いを込めて、参加者は自分が植えたドングリに水やりをしました。
この取組を通して、自分たちが暮らす静岡市には南アルプスユネスコエコパークという世界に誇れる地域があるということや、その貴重な自然環境と自然と人との関わりなどについて考えていただく機会となればと思います。そして、今回参加していただいた子どもたちが将来にわたって静岡市の自然、南アルプスの自然に関心を持ち続け、環境保全などの活動に何らかの形で関わってくれることを期待しています。
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